❅·̩͙65 ページ25
なんでそんなこと聞くの、
と言いたくなるのを堪えて
苗字を答えた。
ああ、父を連想させるもの、もうひとつここにあったな。
『…そう、だよな、うん………はぁ……そうだよな…』
｢渡辺、まじで大丈夫？｣
彼の呼吸がどんどん荒くなる。
立ってられなくなった様子で膝をついた。
慌てて支えようと腕を掴むけど、それもすり抜けて
彼の体が地につく。
『ごめん…涼太、呼んで……』
｢分かった、とりあえずそれ置いて。ソファー座って｣
勢いよく駆け上がりたいところを
逸る気持ちを抑えて真っ暗なだての部屋を開ける。
それだけでだては目を覚ましたようだった。
宮｢誰、どうしたの｣
｢だて。渡辺の様子おかしいの。下行ってあげて｣
宮｢分かった、ありがとう。あと任して姫はもう寝な｣
暗闇から出てきただては寝起きと思えないぐらい目が開いてる。
優雅に堂々と、でも急いで渡辺の元へ向かうのを見届けて
言われた通りに私は自分の部屋へ入った。
ソファーに倒れ込んでいる幼なじみ。
暗がりでも分かる、尋常ではない汗の量。
｢……翔太｣
呼びかければ上がった顔に、生気は全くない。
テーブルに置かれた個性的な壺を横目に見ながら
翔太の隣に腰かける。
｢どうかした？そんなになるの、あん時以来じゃん｣
『俺、もう白雪に居れねぇかも』
｢…なんで｣
コツ、と壺を爪で弾いた。
『……Aちゃん、親居ねぇんだって』
｢…うん｣
あの子の存在を知ってから、毎日楽しそうだった。
ルーナとは真逆で、月光のように淡く優しく、儚い。
どことなく2人は雰囲気が似てる気がしていた。
親がいないという共通点があるからか、と
彼女の言葉を聞いた瞬間に思った。
このまま良い感じになってほしいと
幼なじみとして願っていたのだけど。
『苗字が……同じなんだよ』
あの子の苗字。A、だったっけ。
起き上がった翔太と目が合って
恐ろしい仮説が浮かび上がる。
｢確認したの｣
『そんなの出来るわけねぇだろ』
｢…だよね｣
もし、俺たちが思い描く仮説が真実だとするなら。
運命はなんて残酷なんだろうか。
彼女が翔太の過去を知ったら。
きっと、彼らは壊れてしまう。
まだ何も始まっていないのに
これからだったのに
隣で見ていることしか出来ない自分が情けない。
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カジャ(プロフ) - りんごさん» ご愛読ありがとうございます。なかなか進みませんね…精一杯の勇気を振り絞ってあれだったようです笑 楽しんでいただけているなら嬉しいです。 (5月2日 20時) (
レス) @page36 id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - お疲れ様です！くっつかへんのか〜ぃの前に、ハグだけか〜ぃ！って海のとこで叫びましたꉂ🤣ワクワクしながら待ってマス！ (5月2日 20時) (レス) @page41 id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - すれ違ったふたりが戻ってきて安心しましたーヽ(；▽；)ノ空気感、好きです♡ (4月29日 22時) (レス) @page36 id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - りんごさん» 大変申し訳ありません、ご指摘感謝致します。 (4月12日 18時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - カジャ様、ワクワクしながら拝見してます⋆♡もしかしてですが、45と48が抜けております。 (4月12日 13時) (レス) id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年4月11日 19時
